SUSTAINABLE MATERIALS



アパレルとは生地! 天然繊維はもちろん、合成繊維は石油などの資源を使用し、染色の段階でも大量の水を使用します。しかし、環境負荷は当然でも「より環境にやさしい」工夫のなされた生地のことを「SUSTAINABLE FABRIC」としてエシカルと考えています。
では、どんな生地が「より環境に優しい」のでしょうか? 具体的には以下のものがあると考えています。

①天然繊維の使用
②植物由来の化学繊維の使用(精製セルロース繊維、PLA繊維)
③再生PET繊維
⑤環境負荷の低い加工が施された繊維

WHY NOT SYNTHETIC FIBER?

化学繊維の製造

合成繊維は石油が原料です。

化学繊維は、原料の高分子を薬品で溶かすか、熱で融解させたもの(紡糸液)を多数の小さな孔を持つ紡糸ノズルから押し出して繊維状に個化させて作り、これを「紡糸」といいます。しかし、このままでは繊維内部の分子や結晶が乱れたままなので、次に長さ方向に引っ張るという行程があります。これを「延伸」といいます。それによって高分子の配向が進み、十分な強さを持つ繊維ができます。

【参考リンク】「写真で見る合成せんいの製法」日本化学繊維協会「よくわかる化学繊維」日本化学繊維協会「日本の化学繊維工業」日本化学繊維協会有機資源協会
化学繊維の種類

主な衣料用化学繊維には次のものがあります。

合成繊維
(合成化学的に作られた原料を使用するもの。石油、石炭、天然ガス、石灰石を原料とする。3大合繊はポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリルニトリル系)
ポリアミド(ナイロン)、アラミド
ビニロン
ポリ塩化ビニル
ポリエステル
ポリプロピレン
ポリウレタン
アクリル、アクリル系
半合成繊維
(天然繊維を化学変化させて繊維構造にしたもの)
アセテート、トリアセテート
主原料:木材パルプの繊維素
プロミックス
主原料:牛乳蛋白カゼイン
再生繊維
(天然原料を一度溶解し、
繊維状にしたもの)
レーヨン、ポリノジック
キュプラ(『ベンベルグ』)
リヨセル(『テンセル』)
化学繊維の問題

こうした化学繊維がなぜ「非エシカル」として扱われるかというのには、次の2点が理由として挙げられます。
①エネルギー問題
②生分解性の壁

そのために、次のような解決策がより環境負荷を軽減させるとして、エシカルだといわれています。
①天然繊維の使用
②植物由来の化学繊維の使用
・Modal®やTencel®などの精製セルロース繊維
・PLA繊維
・再生PET繊維 など

1. 天然繊維の使用

「天然素材」と聞くと良いイメージがありますが、本当にそうでしょうか? まず、4大天然繊維を見てみましょう。

コットン

・歴史は古く、確認されている最古のものは「旧大陸綿」として5000年ほど前の赤染めの綿織物がインダス川流域・モヘンジョダロ遺跡付近で見つかっている。さらに、B.C.3000年頃の綿製品(「新大陸綿」)がペルー・チカマ渓谷にある遺跡から出土している。日本には799年に伝来したといわれる。
・綿は熱帯植物で北緯40°以北では生育しない。北の寒いところでは綿の木は育たず、日本では伝来以来主に関東以南で栽培された。
・日本での栽培の最盛期は明治中頃といわれる。しかしその後は、アメリカ・ソ連・中国・インド等の細くて長い繊維の綿に押され、現在はあまり栽培されていない。現在、日本における原綿は現在99.99%が外国からの輸入で、綿製品の約90%も海外からの輸入品。

コットンの種類と用途

Linen, Flax, Hemp

日本語では植物の茎(葉)からとれる繊維をまとめて「麻」と呼びますが、「麻」は「大麻(ヘンプ)」、「黄麻(ジュート)」、「苧麻(ラミー)」、「洋麻(ケナフ)」など原料によって別のものです。

【リネン】
・亜麻科植物草の靱皮から採れる「フラックス」という繊維で作った糸や布のこと。厚地のものは帆布・カンバスなどに使用する。
・日本の品質表示では「麻」と表示することができるのはリネンとラミー。
・原料の「亜麻」は北ヨーロッパの涼しい地方で栽培され、主な産地はベルギー・フランス北部・ロシア・北欧・アイルランドなど。
・産業革命まで、ヨーロッパの基本繊維は亜麻だった。エジプトのミイラも亜麻でくるまれていたそうで、エジプトの壁画には亜麻を栽培・紡績する様子が描かれている。
・品質を安定させるために6~7年の輪作を行う。自然のままのカラーのものは生産年によっても多少違った色味になる。

【ヘンプ(大麻)】
・アサ科に属する。強い植物で農薬や化学肥料などを使用せずとも、痩せた土地や乾いた土地でも育つ。
・人々の生活に古くから関わってきた植物で、衣類や食材だけではなく茅葺屋根、漆喰の材料、たいまつ、弓の弦など、生活に欠かせなかった。神社のしめ縄や鈴縄、横綱の化粧回しなどにも使われ、神聖な植物として大切に扱われていた。
・土を豊かにする細い根を持ち、連作が可能。成長過程で多量の二酸化炭素を消費し、大気を浄化する。
・綿と同じように吸汗するが乾くのはとても早く、さらっとしている。保温性もあるため夏は涼しく冬は暖かく、年中快適です。消臭殺菌作用もある。
・イタリアが良質のヘンプ布の産地として有名。

【参考リンク】麻繊維について(日本麻紡績協会)
シルク

・天然繊維の中で唯一の長繊維。繊維の中で最も細いものの1つだが、強度は鋼鉄に匹敵し弾性に富む。
・化学繊維の発達は、19世紀にヨーロッパで流行した蚕の"微粒子病"による養蚕業への大打撃がきっかけとなっている。
・美しい光沢は繊維断面が三角形であるため。耐光性は十分ではなく、紫外線により黄褐変し、脆化して強度が低下する。
・防虫性に劣るが、保温性は良好。
・染色性も良く、酸性媒染・天然染料などで鮮やかに染まる。
・ヨーロッパで愛され、19世紀中ごろには、イタリアでは年5万トン、フランスでは年2.6万トンが生産され、主要な生産国として大いに栄えた。
・まだ蚕が孵化していない状態でそのまま茹でて原料を採集するため、動物保護の観点からは、一部論争が起こっている。「Peace Silk / Vegetarian Silk」は、蚕が蛾として完全に孵化したのちのものを原料として使用する。

蚕の一生~糸になるまで

【関連リンク】
・日本絹業協会:http://www.silk-center.or.jp/
・日本蚕絹業開発共同組合:http://www.j-silk.jp/
ウール

・『毛』の表記は羊だけではなく、動物の毛の総称として表記したもの。『羊毛』が、羊から採った毛を指します。
・羊毛の種類は、最高級のメリノ羊毛やブラックフェイス、ドーセット、サウスダウン、チェビオット等、約40種類ほどある。
・メリノ種がそのうち約40%を占める。オーストラリアが最大の産出国で、その生産量の約75%がメリノ種。日本の輸入羊毛の約80%もメリノ種。
・一般に羊毛の生地は、梳毛織物と紡毛織物の2つのタイプがある。
・羊毛は年2回、子羊1頭当たり1.5~2.0kg採れる。
・ウールマーク(New Wool 100%)は、新毛が99.7%以上入っていて、品質が優れている毛製品に付けられるもの。
・ウールは、1本1本の繊維がくるくる縮れている。クリンプと呼ばれるこの縮れのおかげで、ウール製品は、約60%もの空気を含む。そのため保温効果が高く、伸縮性に富み、皺になりにくい。また水をはじく性質でありながら吸湿性に優れる。暖かいときには膨張して空気を逃し、寒い時には収縮して熱を逃さないようにする。

【関連リンク】ウールについて(ウールマーク)

天然繊維は本当にエコ?

①農業としての問題

忘れてはならないのは植物である以上、栽培しなければならないということです。その栽培過程で、殺虫剤、水、エネルギー、開墾による土壌侵食などの可能性があります。糸繰り〜編み〜織り〜染め〜と、サプライチェーンの長さが追跡を困難にしており、その可能性を確かめるのを困難にしています。それは同時に、消費者が洗濯したりする際の環境負荷にも関わってきます。サプライチェーンの中でどんな加工をされているかによって、洗濯しながら有害物質を流出させている可能性だってあります。

また、天然繊維を原料とする面でサトウキビなどを原料とするバイオベース由来のポリエステルは、植物由来エチレングリコールを重合・溶融紡糸しています。この開発時にも、土地管理・開墾についての問題が壁になったといいます。生産量が増えるにつれてサトウキビ畑やトウモロコシ畑を次から次へと開墾しなければならないのであれば、完全循環型のクローズドな製造装置の開発を待たなくてはなりません。

農業である以上、それは人々の生活にも直結します。育てる人々の生活を脅かさず、環境に負担の少ない方法で育てられた天然繊維を用いて初めて本当に「エシカル」なのかもしれませんが、一つ一つの原料をトレースするにはさらにしくみを整備しなければなりません。

加工の問題

たとえエシカルな方法で育てられた原料を用いて紡績しても、その後の加工が「非エシカル」であることもあります。天然染料を使用することによって、環境負荷を低減させる取り組みがありますが、より安全な化学染料の開発、汚水を出さない染色用設備や低温でも定着する染料の開発により、その安全性は向上しています。また、大量の媒剤を使用する天然染めの方が、実は環境に良くない、という側面もあります。はたして「エシカル」な染色方法とはどれなのか? というのは今後も議論していかなければならない部分です。

例:バンブー(竹)はエコ?

米連邦取引委員会(Federal Trading Commision)は、「"バンブー(竹)"と表記されている繊維のほとんどは、ただのレーヨンであり、一般的にレーヨンは生産時に有害な物質を使用し、大気に汚染物質を排出する。レーヨンの原料には竹を含め様々な植物を使用することができるものの、製品化された後、その原料となった植物を特定することはできない(※"How to Avoid Bamboozling Your Customers")」としています。

同委員会はこれまでに、バンブーレーヨンが環境にやさしい繊維であると宣伝し、バンブーレーヨンをバンブーと記載した企業を80社近く摘発しています。

【参考リンク】
・"Toxic Threads" GREENPEACE

2. 植物由来の化学繊維の使用

すっかりなくてはならなくなってしまった合成繊維。天然繊維はもともと「生分解性」がありますが、昔ながらの石油から作る高分子材料(ポリエステルやナイロン)は、土壌の中ではなかなか分解せず、焼却処分ののち埋め立てるのが一般的でした。そこで植物由来の化学繊維が、生分解性のあるなどの観点からエコだとして研究が進められています。

植物由来の原料を使った商品が注目されている背景には、「カーボンニュートラル」という考え方があります。石油などの化石資源とは異なり、植物は成長の過程において光合成でCO2を吸収します。このため、商品の生産や廃棄時にCO2を大気中に排出したとしても、それは原料の成長過程において吸収されたCO2量で相殺されます。最終商品が消費者に届くまでには輸送なども必要ですので、厳密に言えば排出量がまったく増えないというわけにはいかないのですが、商品のライフサイクル全体でみた際のCO2排出量は大きく削減されます。また、化石資源の採掘から精製までに必要な製造エネルギーと比べても、植物由来原料は環境への負荷を低減することができます。

また、化石資源は有限で、このまま採掘を続けていくといずれは枯渇してしまいます。一方、植物原料は再生可能な資源です。植物由来原料を有効に活用すれば、化石資源の可採期間を延ばすことにもつながります。もちろん植物由来原料の使用が乱伐や食糧問題につながってはいけませんので、化学繊維に使用する植物には、計画栽培や非可食性植物の使用などの配慮がなされています。

(引用:「植物由来の化学繊維」日本本化学繊維協会

生分解の種類

生分解とは、「微生物の働きによって、素材が分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質」のことです。ただし、厳密な定義としては次の2つで、これを満たせば石油でも非石油でも「生分解性を持つ」といえます。
①微生物の作用により分解する高分子材料
②生体内で分解する高分子材料(生体吸収性高分子材料)

【参考・引用リンク】「グリーンプラ入門」日本バイオプラスチック協会

植物由来の合成繊維

再生セルロース繊維の原料となるセルロースとは、植物細胞の細胞壁および繊維の主成分で全体の1/3~1/2を占め、自然界の有機体の最大量。原料としては主にコットンやアカマツ、クロマツなどの木材パルプが原料として使用されています。その代表的なものとして挙げられるヴィスコースレーヨンは、水や燃料など多大なエネルギーを使用して生産されているうえ二酸化炭素の排出量も高く、環境面で無駄の大きいものでした。現在ではバンブー(竹)も頻繁に使用されていますが、これも有害化学物質で融解して製造されるため、エシカルな観点からは疑問視されています。

天然由来である点を強調すると「エコ繊維」であっても、その加工処理によってはエシカルと言い切れるかは怪しいところです。Lenzing社は、大気中・水中に有害物質を排出しないクローズドな製造方法を編み出し、繊維を融解させる化学物質も99.5%の再利用を実現し、化学処理の環境負担を軽減させています。また、ユーカリ、ブナ材、とうもろこし、ヘンプ、亜麻、イラクサなどを原料とするものなどが生まれ、環境負荷を軽減させながらより高い機能性を持つものが開発されてきました。
(例)Lenzing社の「Modal®」……改質レーヨンの一種で、ポリノジックなどと同等。パルプを溶かし、セルロースを再生するという製造過程で、アルカリ薬品や硫酸といった毒性の強い廃棄物を出すことが問題になっていましたが、同社はクローズドな製造方法でこの問題を打開している。

(例)旭化成せんい「ベンベルグ®」……綿花の種子の周りに生えているうぶ毛状の繊維(コットンリンター)を使う再生セルロース繊維。コットンリンターは従来使われていない部分であり、資源の有効利用という意味でも環境に配慮されています。

精製セルロース繊維

また研究が進められてきたのが「精製セルロース繊維」です。化学繊維は化学反応により化合物を作り、繊維素や合成した高分子を紡糸するもの。従来の再生セルロース繊維は紡糸、再生工程で排出されるガスや排水の回収処理に多大なコストがかかっていましたが、精製セルロース繊維は溶剤で溶かしたものを紡糸しています。まず木材パルプを溶剤に溶かしてフィルターでろ過した後、不純物を取り除いてから細かい孔から押し出して紡糸します。天然繊維素分子をそのまま生かしている特性から「天然繊維」という範囲でも良いのでは? とされていますが、まだまだ議論の余地があるところです。
(例)Lenzing社「Tencel®」……ユーカリからつくられた木質パルプを原料にして、天然セルロースの分子構造を分解させずに、人体に無害なアミン酸化物溶剤に溶かして原糸にする。使用された溶剤のNMMOは100%回収され、循環利用されるため、無公害のプロセスといわれています。
「エコで有名な素材「テンセル®」について、どのくらい知っていますか?」2014/06/11

バイオポリエステル

ポリエステル繊維はテレフタル酸とエチレングリコールから作られますが、このうちエチレングリコールを植物から作るのが主流になっています。このかたちであれば全体の約30%が植物由来原料になります。
(例)帝人ファイバーの「プラントペット®」……同社はすでにポリエステルの循環型リサイクルシステムを確立しています。これと合わせてバイオポリエステルを展開していくことで、これまでリサイクルが難しかった分野に関しても、環境配慮型素材を広げていくことができるようになります。
(例)東洋紡の「バイオボランス®」……使用するのはさとうきびで、従来捨てられていた絞り粕の部分を使いますので、植物の乱伐につながる恐れもありません。幅広い用途に展開していく計画で、現在は自動車や土木資材などの用途で使われています。

ポリ乳酸(PLA)繊維

一般的なプラスチックであるポリスチレンやポリエチレンテレフタラートと類似している、でんぷん由来のバイオプラスチックです。トウモロコシ、さつまいも、ジャガイモ、サトウキビ、米などの非可食物、生ゴミが主要な原料となっており、製造工程は大きく[糖化]、[発酵]、[精製]、[重合]の4工程に分けられます。石油等の化学原料由来の素材ではないため、使用後廃棄しても土中や水中の微生物の栄養源として利用され、最終的には水と炭酸ガス(CO2)に分解される。
(例)帝人ファイバー「バイオフロント」
(例)マジープレシオン「ビオネックス」

【参考リンク】「セルロース系繊維」http://www.fashion-heart.com/「機能性プラスチック」Japan Patent Office「植物原料繊維特集/樹木繊維編/国内2社体制に」繊維ニュース(2003年07月10日)

3. 再生PET繊維

廃品や資源の再利用、再生のすべてを含むリサイクルの中でも、廃棄物を製品の原材料として再利用する「マテリアル・リサイクル」は、環境への負荷が最も少ないものとして注目されています。原材料生産のための新たな資源やエネルギーの消費を必要としないほか、最終処分される際も廃棄物の排出量が少なくなるというメリットがあります。
(例)帝人ファイバー「エコペット®」……回収されたPETボトル、ポリエステル製品・原料から再生されたポリエステル繊維およびその製品。同社は、回収システム「エコサークル」と合わせてこの分野を開拓している。

「染め」について

天然染めとは?

・1856年までは染料は全て天然染料。19世紀の中期に合成染料が登場するようになると、染色に使われる染料の大部分が合成染料となり、天然染料は手工芸品の染色としてのみに用いられるようになった。
・自然界の動物、植物、鉱物などから分離し得られた色素を「天然色素(生体色素)」といい、その中で染材として利用できる色素を「天然染料(てんねんせんりょう、natural dye)」という。その大部分は植物染料のこと。植物の根、幹、樹皮、葉、果実、花などから煮だしている。
・天然染料には、藍、紫貝のように建染染料(バット染料)に類するものや、紅、サフランのように直接染料に類するもの、茜(あかね)、コチニール、ログウッド、没食子(もっしょくし)のように金属媒染染料に類するものなどがある。

化学染料について

一方、化学染料には次のような種類があります。

①直接染料(Direct dyes)
②酸性染料(Acid dyes)
③反応染料(Reactive dyes)
④塩基性染料(Basic dyes)、カチオン染料(Cationic dyes)
⑤建染染料(Vat dyes)
⑥硫化染料(Sulpher dyes)
⑦ナフトール染料(Naphthol dyes/Azoic dyes)
⑧媒染染料(Mordant dyes)
⑨金属錯塩染料(Metal complex dyes)
⑩分散染料(Dispersed dyes)

【参考・引用リンク】「天然染料」ジーンズ色いろ「染料の種類」生活環境化学の部屋名阪カラーワーク研究会
天然染料ならば環境に良いの?

天然染料は年月と共に色目が変化します。また、色素の含有量が一定せず、また単一の色素のみを持つことも少ないので、同じ色を出すのはほぼ不可能です。濃い色に染めるのは手間が非常にかかり、染料自体の採取時期による色の違いや、季節による染色の向き不向きがあるので、染色を行う季節が固定されるものが多いです。

天然染料を用いた染めの加工では、金属製の媒染剤を使用して染料を生地に定着させます。また、色落ちを防ぐため、大量の定着剤を使用します。天然の定着剤としては卵白やコンニャクを使用することができます。

蛇足ですが、「草木染め」は登録商標でした。山崎斌(あきら)が昭和7年に商標登録した言葉です。文芸家として活動をしていた山崎は、昭和初頭に起こった郷里・長野県の養蚕農家が世界恐慌などのあおりを受けて苦しんでいるのを見かね、研究を重ねた末、天然染料による染めを体系的に指導します。同時に、当時日本の染色業界を席巻し始めていた合成染料による染色と一線を画すために、昭和5年に「草木染」と命名、昭和7年に商標登録受理されます。現在は登録商標の権利期限が切れたため、誰でも使用できます。