LOCAL MADE



「MADE IN JAPAN」「MADE IN USA」「MADE IN U.K.」……ETHICAL FASHION JAPANでは、その土地の技術と産業を生かし、活性化を目指して作ることを「LOCAL MADE」として分類しています。現在、具体的には次のような取り組みが見られています。

①<先進国により多く見られるケース>空洞化した産業を回復・自国の産業を再興させる取り組み
②<途上国により多く見られるケース>地域の文化を生かしながら雇用を創出し、経済的なエンパワメントも目指す取り組み

その土地の産業を盛り上げることで雇用を創出し、経済的にも成長することを目指した取り組みが「LOCAL MADE」だと分類します。

ファッションと海外移転

アパレルのサプライチェーンにおいて海外移転・依存が高まるにつれ、産業の空洞化、それによる技術の流出が問題視されています。海外移転が進む背景には、一般的に次の理由が挙げられます。

・国内市場の縮小……少子高齢化と平均所得の減少による、顧客の購買行動の成熟化。
・高いローカライズコスト……仕様、法規、認証、言語などが異なるため、日本で商売をする費用対効果はあまり高くない。
・産業集積の縮小
・費用対効果(コストパフォーマンス)が悪い国内人材
・高い法人税

ではそのメリットとデメリットとは? 企業の海外移転が始まるきっかけになったのは円高の影響でしたが、ローカライズコストや法人税の高さが後押ししました。また、日本は地震などの天災が多いですが、海外に工場を設立すればそのリスクも減ります。しかし、海外移転を拡大すればするほど、雇用は減少し、経済が弱体化します。

<メリット>
・人件費、水道代、電気代のほか、生産規模の割に投資金額自体が安い場合も多く、ランニングコストが安い。
・税金が優遇される。
・輸送費用が節減できる。

<デメリット>
・産業空洞化状態になり、産業の衰退が地域経済の衰退や経済成長率の低下につながる。
・国内の雇用機会が減少する。
・経済成長の基軸となる産業が海外へ流出してしまい、日本の経済が弱体化する恐れがある。

【参考リンク】「日本経済2012-2013 第3章第2節 企業の海外生産移転の背景」内閣府

なぜ「MADE IN ◯◯」?

こうした問題を解決していくことを目的に、「Made in ◯◯」を求める動きが見られます。ここでは、Made in USAを例にとって、なぜ「Made in ◯◯」を買うべきかといわれている理由を一部ご紹介します。

1. 雇用を守る。
2. 国際社会の情勢に左右されることなく、欲しいものを手に入れる環境を作っていくことができる。
5. 貿易依存を解消し、借金を減らすことに寄与できる。
6. アメリカの独立性を保つことができる。
9. 国の経済発展を助ける。
10. 国産品(Made in USA)を買うことによって、アメリカ人労働者をサポートする。

【参考リンク】"Top Ten Reasons to Buy American" MadeInUSAForever.com 「なぜ日本製は高いのか、海外メディアが考察」ブランドファッション通信

「MADE IN ◯◯」とは?

「どこで作られたものか?」を示す原産国表示ですが、現在は一つのアパレル製品を作るにも、生産加工工程がグローバル化し、複数の国が生産に関わっています。そのため、原産国どおりの場所で作られたものかどうかは分かりません。日本では景品表示法という法律や公正競争規約などによって規定されており、原産国の判定方法として「製品に本質的な性質を与えるために充分であると認められる実質的な製造又は加工を最後に行った国」を原産国とするとされていますが、その基準は各国で異なることでさらにトレースすることが難しくなります。

では、「Made in ◯◯」とは何を意味するものなのでしょうか?

京友禅の伝統工芸士が中国に工房を作ったとする。反物、染料は日本から持ち込み、日本の伝統技術で仕事をする。ただ、作業場所が京都から中国に移っただけだ。それでも、その製品は中国製、Made in China になる。反対に、中国人が日本に縫製工場を作ったとする。中国製のミシンを持ち込み、中国から素材と付属品を輸入し、中国人研修生が縫製する。品質管理基準も中国レベル。もちろん、製品レベルも中国レベル。それでも、その製品は日本製、Made in Japan になる。

そんな仮定は非現実と言わないでほしい。中国の富裕層が日本製の製品にブランド価値を感じれば、新たなビジネスチャンスとして、中国人が日本で製造業を起業することは十分に考えられるのだ。

こうした動きは、既にイタリアでも発生している。イタリア国内に何のノウハウも技術もない外国人が入り込み、縫製工場を買収し、Made inItaly の商品を生産しており、イタリアの業界は対策に苦慮している。

テキスタイルの状況は更に複雑だ。まず、原材料はほとんど輸入である。糸の段階でも、大多数の紡績は生産拠点を海外に移転しており、国内糸だけでは国内の機場を維持することはできない。レーヨンやアクリル糸でさえ、次々と国内生産が打ち切られており、海外からの輸入に依存している。

引用:「Made in Japan」繊維トレンド(2006.5・6月号)坂口昌章 有限会社シナジープランニング 代表取締役

今後、「製造物責任という観点から見るのならば、どこで作られたかというよりも、どの企業が製品の責任を持つのかが問われるべき」という観点から、「Made by 企業名」「Designed by ◯◯」「Assembled in ◯◯」という表記も増えてきました。

【参考リンク】原産国表示マニュアル - 日本繊維輸入組合なぜ男は"made in USA"に惹かれるのか? - Houyhnhnm(フイナム)
日本のアパレル流通構造

アパレル産業内では、素材メーカー、加工メーカー、縫製工場、商社、アパレルメーカー、編み立てメーカー、副資材メーカー、商社、物流センター、そしてアパレルメーカー小売店…など多くのプレーヤーが複雑に関わり合っています。またそれぞれのプレーヤーが別々のサプライチェーンにも属しており、川上から川下まで、互いに絡み合った「クモの巣」のような構造になっています。それが、国内にとどまらず、世界をまたにかけた「クモの巣」になっているのです。

それは、国内生産のコスト増の問題もあり、アパレル製品の製造は、90年代中頃から海外生産比率が急速に高まったためです。特に、中国に生産をシフトさせる動きが活発になりました。しかしここ数年は中国沿岸部で進行するコスト高も相まって、現・ASEANへの生産シフトも加速しています。

・川上…合成繊維製造、紡績業
 企業:大企業中心(東レ、帝人、三菱レイヨン、東洋紡等)

・川中…染色加工業、織物業
 企業:中小企業中心、日本各地で「産地」を形成(北陸、尾州、泉州、今治、播州、丹後等) 

・川下…縫製業、ニット製品製造業、アパレル
 企業:中小企業中心

・その他…商社(OEM生産品の輸入)、SPA
 企業:大企業中心(伊藤忠、三菱商事、ユニクロ等) 特徴:収益源は衣料

1つの製品を作るのには非常に多くの企業が携わっています。ここまで複雑なのは、世界をみても、日本アパレル産業だけ、といわれるほど。

1つの服ができるまでに、まずは商社、テキスタイルコンバーターと呼ばれる生地商とアパレルメーカーからスタートします。テキスタイルコンバーターは糸メーカー、糸商、商社から糸の調達を行います。それから染色企業、生地メーカーにそれぞれ染色、織布を依頼します。そしてでき上がった生地がアパレルメーカーに売られます。

アパレルメーカーは生地商、商社、副資材メーカーなどから生地やその他副資材などを調達し、縫製企業に裁断・縫製を注文します。そしてできあがったアパレル製品を自社ブランドとして直接、百貨店や量販店、専門店等の小売店に売ったり、二次卸商を経由して小売店の店頭から消費者に届けます。

糸メーカー、特に化繊を扱う企業は往々にして大企業で、石油原料から生地まで一貫して製造するので、この限りではありません。ニット製品も、また違う商流を持っています。商社が、テキスタイルコンバーターの役割を果たす場合もあれば、流通企業を介さない場合もあります。卸商からまた別の卸商へと流通するケースもあり、固定した流通ルートはありません。

このような構造のため、トレーサビリティを確立するのが難しい側面があります。

【参考リンク】世界各国の繊維・アパレル産業・市場を調べる(JETRO)「遊休工場でイチゴ栽培=繊維生産の海外移転で―日清紡」時事通信社