CRAFTSMANSHIP



ETHICAL FASHION JAPANでは、国内のものも海外のものも、昔から受け継がれてきた文化・技術を未来に伝え残すような取り組みを「CRAFTSMANSHIP」とします。具体的には、以下のものがあります。

①伝統技術・工芸を取り入れた服づくり
②ヴィンテージ素材を取り入れた服づくり
③非常に高度な熟練の技術をもって作られたもの(機械/手づくりいかんにかかわらず)

ここでは、なぜそれらがエシカルかを説明します。

消えつつある伝統技術

地域に伝承されてきた文化は、地域で生きていくうえでの生産・生活の様式そのものですが、その中でも「伝統文化」とは、そこに歴史性と民俗性を見いだすことができるものです。具体的には歴史的に伝承されてきた、衣食住等の日常の生活行為、言語、生産技術、空間の利用形態、祭礼神事等、農山漁村の生活の中に随所にちりばめられているさまざまなものが該当します。生活の必要の中で構築し、伝承の過程で少しずつ変容しながら地域独自の形態が作り上げられ根づいてきました。

近代化とともに海外生産・機械化による大量生産が主流になり、文化とともに伝統技術が世界各地で衰退しつつあります。

「伝統的工芸品産業をめぐ現状と今後の振興施策について」経済産業省製造産業局伝統的工芸品産業室(平成23年2月)

「伝統的工芸品産業をめぐ現状と今後の振興施策について」経済産業省製造産業局伝統的工芸品産業室(平成23年2月)

その理由として特に日本では、次のような問題があります。

1. 需要の低迷
①少子高齢化による人口の減少
②国民のライフスタイルの変化
③大量生産方式による安価な生活用品の普及
④海外からの輸入品の増加等

2. 量産化ができない
①基本は手間と時間をかけた丁寧な仕上げの「手作り」
②原材料、技術、技法へのこだわりゆえの複雑な工程
③企業活動の規模も小規模(1社あたりの平均従事者数は5.2人

3. 人材、後継者の不足
①産地の従事者数は、昭和50年代と比べて約3分の1に減少(昭和55年:261千人→平成21年:79千人)
②従事者の高齢化(平成21年度50歳以上の従事者の割合:64%)
③売上の不振等により、後継者を受け入れる側の体制が整わない等
※単純に後継者が不足しているというだけでなく、後継者を雇うほどの仕事がないという問題です。たとえ後継者を育てたとしても、その人間の将来に責任が持てない、今の伝統工芸にはそれを担うだけの余力が残っていないということで、それほど需要が低下しているのです。

4. 生産基盤(原材料、生産用具など)の減衰・深刻化
①原材料は、主に自然素材であり、貴重な有限の資源。したがって、再生産には制約があること、原材料として再生・活用・使用できるようになるまでには相応の時間が必要であることなど、減衰・枯渇は深刻化。
②産業活動の縮小は、生産用具の使用機会の減少をもたらし、用具の材料の採取、用具の製作・修理などを担う人材も、専業では成り立たず、廃業を余儀なくされる事態。

5. 生活者のライフスタイル・価値観の変化と情報不足
①利便性・機能性が重視される日常生活へと構造的な変化が生じている。
②冠婚葬祭、進物儀礼などの伝統的・慣習上の機会が減少しつつある。
③消費者において、伝統的工芸品の「本物の良さ」や、日常生活における使用・活用・メンテナンス方法等についての情報・理解が不足している。
④特に若年層において、伝統的な文化や生活に対する体験や知識が不足している。

また、限定された全国市場に依存し、流通ルートを特定化して分業関係が固定化していたため、市場の変化に追いつけなかったという問題を指摘する人もいます。

【参考・引用リンク】「伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について」経済産業省製造産業局伝統的工芸品産業室(平成23年2月)

日本の伝統技術

一口に染織といってもその方法はさまざまですが、大きく分けると手作業で文様を描く方法と、布地の表面をマスキングして防染する方法に分けられます。

・友禅染、型染、鹿の子絞り……高級衣料生地用の染色技法。東京、京都、金沢、名古屋など、江戸期の2大都市と雄藩の城下町が代表的な産地。
・木綿地に藍染を施す絞り染など……庶民衣料用の染色は全国的に広範に行われ、中でも有松、鳴海絞(愛知)が目立つ。

織物の場合、原料糸に麻、絹、木綿の区分があります。伝産品で現在一定規模の産地を形成するのは絹で、その加飾技法別に分けると錦、縞、耕となります。製糸方法の別で分けると、①撚糸や強撚糸(縮み・お召しの原料糸)を用いる産地と、②手紬ぎ糸を用いる紬産地に分かれます。産地は東日本に多いですが、以下のとおりに分布します。

錦織(絹の高級生地)……桐生、西陣、博多
紬織物……本場結城紬(茨城・栃木)、本場大島紬(宮崎・鹿児島)、置賜紬(山形県)、小千谷紬(新潟)、村山大島紬(東京)、信州紬(長野)、久米島紬(沖縄)

麻・木綿で経済産業大臣指定の産地として挙げられる主なものは以下のとおりです。

麻織物……小千谷縮(新潟)、 近江上布(滋賀)、八重山上布(沖縄)
木綿……久留米耕(福岡)、弓浜耕(鳥取)、阿波正蓋 しじら織(徳島)

その他には、刺繍や組紐の技術などがあります。

※詳しい産地地図・染め・織りの詳細は……「日本の織物産地マップ」 繊維業界検索なび

日本の伝統技術の歴史

天然染料はそう簡単に染めることはできません。鮮やかで濃い色に染めれば染めるほど、コストと手間がかかるため、彩り豊かな現在のファッションは合成染料や合成顔料のおかげといっても過言ではありません。天然染料は濃く染めることが難しかったため、鮮やかな色、特に鮮やかな紫と赤は「権力の象徴」になりやすかったようです。庶民はどんな色の服を着ていたかというと、多くの場合は黒っぽい色やくすんだ色、淡い色を着ていました。

染色方法は、奈良時代に中国から伝わりました。奈良時代、唐の織物を模倣する中で、技術はおおいに発展していきました。701年には、織部司(おりべのつかさ)という役所の管轄のもと染色された高級織物が生産されます。

平安時代になると位階による着用の制限はゆるめられ、『源氏物語』、『枕草子』、『古今和歌集』など多数の書物において色名が目立つようになります。また、配色にも名前が付けられました。それがよく現れているものは、なんといっても重ねの色目です。重ねの色目は、日本最古の配色マニュアルであり、季節によるセオリーもありました。このセオリーはかなり重要で、これを破るとセンスが悪いと見られることもありました。

遣唐使が894年に中止され、907年に唐が滅び、中国との行き来も途切れると、着物は日本風のものに変わっていきました。襟、袖口、裾の色の配色がおもしろがられるようになり、一枚一枚、単色で染められるようになりました。

幕府が中国・明と盛んに貿易を行い、金襴、緞子、間道といった染織品や、綸子、縮緬など、さまざまな染織品が輸入されました。また南蛮船から、更紗やモールなどの木綿の縞物ももたらされました。公家社会から武家社会に変わると、着物は、活動的な小袖が社会一般的なものとなり、より多彩な染め模様が要求されました。しかし、それまで染織は単色で、織りを重視してきたため、染めの技術としては、わずかに絞り染めが残っていただけでした。この絞り染めだけで、模様をしたのが、辻が花染めです。これは、安土・桃山時代を、最盛期にして消えてしまいますが、江戸時代の友禅染めへとつながっていきます。また、型染めも室町の後期から始まっています。

江戸時代は、小袖の時代です。小袖は染めと織りが作りだす、意匠性にその魅力がありました。また、糊で線を描き、これに色をつけていく友禅染めが誕生し、流行します。江戸時代も進むと奢侈禁止令が発布されますが、これも刺繍を発達させたりと、より多様な表現を発達させました。

【参考リンク】かさね色目風俗博物館 日本服飾史世界工芸エンサイクロペディア 染織の歴史/日本高田装束研究所

世界の伝統の服飾技術

【アジア】
///China, Korea, Philippines,Japan, India, Thailandの伝統衣装///


・インド更紗
・ろうけつ染め
ブータンのイラクサ織り
・インドのミラー刺繍

【ヨーロッパ】
・フランス刺繍

フランスのレース

・イギリス/スコットランドのハリスツイード
(随時加筆予定)

【参考リンク】世界の国とデザイン杉野学園衣装博物館世界の民族衣装(wikipedia)

ヴィンテージについて

忘れられてしまいそうな「本当にいいもの」を、ずっと長く大切に。それは、人が積み重ねてきた技術・思い・歴史を尊ぶこと。「本当にいいもの」の答えは一人ひとり違っても、「Vintage」という時代の審査を乗り越えた価値は確かな一つの答えではないでしょうか?

Vintageの「vin」は、ワインの当たり年こと。最も基本的な意味/使用用途は、ワインの特定の年代の事を指す言葉です。それが、時代の名品や、年代物の楽器・オーディオ製品・カメラ・衣料品・車などにも広がり、「希少品」の意味で用いられるようになりました。

洋服の「ヴィンテージ」とは~「古着」との違い

かつてデザイン的に見て全く評価されなかった服が、時を経たからといって素敵に見えることはほとんどない。現行の商品として売られていた時期に、憧れの対象になるくらい美しく見えた服だけが後々まで価値を持つのである。

引用:「ヴィンテージファッション」田島由利子

「ヴィンテージ」とは、その当時の作り手の技術・思いが込められているがゆえに、時代のエッセンスが感じられ、完成度が非常に高いものを指すのです。
それを踏まえて、古着の中でも、①一定の古さと②質を兼ね備えたものを指します。

1. 一定の古さ
古さの基準を明確に定義することはなかなか難しいですが、本来は「大量生産が始まる前の時代のもの」という説もあります。19世紀にミシンが発明され、既製服が大きな進歩を遂げました。大半の服が手仕事で縫い上げられていたころ、仕立てが細かく、手が込んでいました。生地やボタンなど、素材も念入りに選ばれているのです。

しかしそうでなくても、主には1950~60年代、70年代にかけて生産されたものを指すとされています。30年以上は前のものかどうか、が「古着」と「ヴィンテージ」を分ける最初の分水嶺と言えます。時を経て、最近は80年代のものも「ヴィンテージ」と呼ぶようです。

2. 質
古ければ古いほど良いというわけではありません。定価は存在せず、年代・希少性・製造者などから総合的に判断されて価格が決定されます。現代では再現の難しい仕立てや技法、布地などが備わっていたりすると価値が上がります。

アンティーク、ヴィンテージ、デッドストック

分かりづらいこれらの言葉ですが、おおまかには以下のように定義されています。
・ヴィンテージ……製造から100年経っていないもの
・アンティーク……100年以上経っているもの。ファッションの中ではアクセサリー、時計などの宝飾品・貴金属について使うことがあります。100年もの時に耐えるという素晴らしい質と言えます。
・デッドストック……昔の商品が未使用のまま保存されていたという商品の状態を指す。メーカーの工場に眠っていた当時のB級品なども含まれる。

【参考リンク】"Vintage" wikipedia The Berlin Vintage Fashion Guide
・【書籍】田島由利子『ヴィンテージファッション』繊研新聞社、2008年
・【書籍】深井晃子ほか『世界服飾史』美術出版社、1998年