ANIMAL FRIENDLY



ETHICAL FASHION JAPANでは、動物に配慮した製造を行っていることを「ANIMAL FRIENDLY」として分類します。具体的には次の取り組みを分類しています。

①ヴィーガンブランドとして、動物性素材を一切使用しない
②トレーサビリティを確保し、適切な環境で飼育された動物の素材のみを使用する
③トレーサビリティを確保し、食肉産業の副産物として生じた皮革部分を使用する

どういったかたちで動物に配慮していくことができるかは今後も議論が必要ですが、ここではなぜ、アパレル産業が動物に配慮していく必要があるのか? を中心にご紹介します。

動物とアパレル

長い間、人間は野生動物を狩り、肉を食べ、皮や骨を利用してきています。ファッションも例外でなく、アパレル産業は動物の力を多大に借りて成長してきました。レザーやファーはもちろん、カシミア、そしてウールにシルク。全て動物のおかげで利用できています。まず、あらためてどういった素材があるか見てみましょう。
Care-Animals

どんな問題がある?

絶滅

乱獲による絶滅。毛皮のために消えていった動物がたくさんいます。ブルーバック、シマワラビー、オオウミガラスなど。人間のエゴによって生物多様性が失われてきたに他なりません。

悲惨な飼育現場・それによる環境被害

20世紀以降、狩猟による毛皮の採取が減少すると、次は飼育場で生産されるようになりました。まずは飼育が簡単なウサギとキツネの養殖が始まり、少し遅れてミンクの養殖が始まりました。そして20世紀後半頃からその悲惨な実態が明るみにでてきました。

安価な毛皮を大量に生産している中国では、ミンクやキツネ、タヌキ、そしてウサギなどの動物を狭いケージの中に閉じ込め、多頭・過密飼育しています。動物の飼育状況は極めて劣悪であるばかりでなく、毛皮を取る時は、檻から引きだして殴ったり、地面に叩きつけ、生きたまま皮を剥いだりしていることが報じられています。中国には未だ動物保護法が存在しません。大量に飼育している動物の糞尿や皮を剥いだ死体の処理の問題に加えて、毛皮の加工に使われる大量の化学物質などが、深刻な河川や土壌の汚染を引き起こしています。

引用:「毛皮 ~ファッションのための犠牲」NPO法人 地球生物会議

【参考リンク】アニマルライツセンター"The Truth" OLSEN HAUS"What about chrome-free, or “eco” leather?" O ECOTEXTILES

Animal Rights & Animal Welfare

「Animal Rights」は動物主体で、人間と動物は平等な関係にあるとし、「Animal Welfare」は人間主体で、人間の利益創出のためにいかにして動物に与えるダメージを少なくするかというところに主眼を置いています。

「18世紀イギリスに於ける動物への道徳的配慮 : 現代の動物倫理との関係を探る」2007

「18世紀イギリスに於ける動物への道徳的配慮 : 現代の動物倫理との関係を探る」2007

①Animal Rights(動物の権利)

・人間が持つ権利を動物にまで拡張しようというかたちで始まった議論
・人間という限定された集団の自然権から、自然を構成している各要素の権利、自然全体の権利へと倫理が進化していくものとして捉える
・1892年『動物の権利』ソールト著では、
「動物の権利論は地球を普遍的な偏愛社会と捉えた人道主義に基づいている」
「ソールトにとって、動物の権利論とは、全ての生き物を対象とすることを含めた完全な民主主義の要求であり、同時に、人間を残虐性と不正義から解放するという、人間改善の為の運動であった」
「人間と動物は互恵的な倫理的・政治的関係を持つはずである」

②Animal Welfare(動物の福祉)

世界動物保護協会(WSPA)の宣言文では、「福祉とは動物の身体的、行動的、精神的な要求の充足度をいう」と定義
・動物の福祉とは、動物の立場にたって、彼らの生活の質を高めようという考え方
・2003年、英国農用動物福祉委員会(FAWC)で家畜福祉の目標として生まれ、飼育動物全般にあてはまる理念として広まり、世界獣医師協会(WVA)や国際獣疫事務局(OIE)で採択された「5つの自由」が、国際的な動物福祉の標準となっている

「18世紀イギリスに於ける動物への道徳的配慮 : 現代の動物倫理との関係を探る」2007

「18世紀イギリスに於ける動物への道徳的配慮 : 現代の動物倫理との関係を探る」2007

・「5つの自由」を野生動物へ隈なく適応することが不可能なことからも察せられるように、動物の福祉は、人間と関わりの深い特定の動物を主な対象としている
・Animal Welfareは、人間の利益のために使用されるすべての動物は、食料、避難所や健康の面でベーシックニーズが満たされ、不必要な苦しみを経験しないことを保証する

つまり、動物の福祉とは、「人間の利益の為に、動物へ強いる犠牲をできるだけ軽減していくこと」を目指す立場といえる。

【参考リンク】「18世紀イギリスに於ける動物への道徳的配慮:現代の動物倫理との関係を探る」2007「世界動物保護協会WSPA 第5節 実験動物のための法律条項案」文部科学省“Animal Welfare v. Animal Rights”, Fur Commission USA

VEGANとは何か?

①ビーガン (Vegan)、ピュア・ベジタリアン (Pure-Vegetarian:純粋菜食)
ビーガニズム (Veganism) は、食用・衣料用・その他の目的のために動物を搾取したり苦しめたりすることを、できる限り止めようとする生き方であると定義することができる。ビーガンは動物に苦みを与えることへの嫌悪から、動物の肉(鳥肉・魚肉・その他の魚介類)と卵・乳製品を食べず、また動物製品(皮製品・シルク・ウール・羊毛油・ゼラチンなど)を身につけたりしない人たち。ダイエタリー・ビーガン (Dietary Vegan)は、ビーガン同様、植物性食品のみの食事をするが、食用以外の動物の利用を必ずしも避けようとしない。フルータリアン (Fruitarian) は、ビーガン (Vegan) との違いは植物を殺さない(絶やさない)食品のみを食べること。 (リンゴの実を収穫してもリンゴの木は死なないが、ニンジンは死んでしまう。)

②ラクト・ベジタリアン (Lacto-Vegetarian:乳菜食)
植物性食品に加えて乳・乳製品などを食べる人たち。

③ラクト・オボ・ベジタリアン (Lacto-Ovo-Vegetarian:乳卵菜食)
植物性食品と乳・卵を食べる人たち。牛乳や チーズなどの乳製品のほかに卵も食べるタイプで、欧米のベジタリアンの大半がこのタイプである。

引用:「ベジタリアンとは?」NPO法人 日本ベジタリアン協会

動物に配慮したファッションのあり方

全てを禁止することが難しい場合もあります。各社さまざまなポリシーを掲げて取り組んでいます。ただし、ラグジュアリーである「ファー」については、禁止する流れが出てきています。

(例)“Animal welfare”, ASOS
・絶滅危機に瀕している動物の素材を使用したアイテムは取り扱わない
・リアルファーは使用禁止
・レザーは、動物に配慮して育てたものであり、かつ食肉産業の副産物でなければならない
・ウールは、適切な環境で飼育されたもののみ
・アンゴラ/そのほかラビットヘアーの使用禁止
・カシミア/モヘアは、適切な環境で飼育されたもののみ
・羽毛/ダウンは、適切な環境で飼育されたものであり、かつ食肉産業の副産物でなければならない

(例)"General Merchandise Animal Welfare Policy" Marks&Spencer
・絶滅危機に瀕している動物の素材を使用したアイテムは取り扱わない
・アンゴララビットヘアーの使用禁止
・ウール、カシミア、モヘアなどは「ライブ・プラッキング(生きたまま毛をむしること)」されたもの禁止
・ファーの使用禁止。フォックス、セーブル、ミンク、チンチラなど飼育されたものも禁止
・「ライブ・プラッキング」されたもの禁止 または フォアグラの副産物であること
・生きたまま剥がされた皮革は使用禁止
・牛革はインド産のもの禁止

代替素材の活用 〜ファーの場合

ただし、リアルファー農場もただただ動物の命をファーのためだけに使うということは考えていません。皮を剥いだあとの肉は動物園や漁業の餌にしたり、脂肪部分は工業用のオイルにしたり、特に、オーガニック農法の飼料としても活用されるのも多い(アメリカやカナダのファー団体の発表)といいます。一概に、「毛皮のためだけ」でもない側面もあります。

ストレスを軽減させながら育てないと毛並みが悪くなるという観点からも、飼育時に福祉に配慮しなければならないという考え方もあります。また85%以外の、狩りによって得られているリアルファーに関しては、免許を持って規定の範囲内でハンターが狩りをしたもので、森の中の適切な個体数を保持して、生態系の維持に貢献しているという側面もあります。ただし、これが自然な淘汰ではないという点は留意しておくべきです。

フェイクファーは現在、主に石油系のアクリル繊維(またはポリエステル繊維)からできています。これは染料も石油系で、適切なものでなければ「動物の命は守っても、自然が代わりに失われては元も子もない」ということになります。石油系染料処理は、排水の処理に最大のコストがかかっていますが、最大の合繊輸出国である中国は2011年からのグリーンピースによる調査で、繊維工場の周辺で有害物質の検出が確認されています。

【参考リンク】
・"DIRTY LAUNDRY" GREENPEACE

「副産物」を加工した素材を使用する 〜レザーの場合

本来廃棄されるべき食肉以外の部分を活用する取り組みがあり、代表的な例として「レザー」が挙げられます。

天然皮革製品の殆どは、食肉用途の家畜(牛、馬、豚、羊、山羊)の皮から製造され、それ自体がReduceの役割をになっているのですが、食肉産業から原料として提供される塩蔵皮1000kgから最終製品となるのは165kgに過ぎず、大量の固形廃棄物や裁断屑を生み、更には塩蔵皮1000kgあたり40tの排水が処理工程で発生しています。

引用:「皮革製品の環境負荷低減への取り組み(日本エコレザー基準認定制度)」新潟県工業技術総合研究所

エコレザーとは、動物の副産物である皮を再利用または再加工したもの。日本でもエコレザー基準が整備され、次の3つの認定要件をおおまかに設けています。
・天然皮革であること。
・排水、廃棄物処理が適正に管理された工場で製造された革であること。
・臭気、化学物質(ホルムアルデヒド・重金属・PCP・禁止アゾ染料・発がん性染料の使用制限)および染色摩擦堅ろう度に関する一定の基準を満たしていること。

日本エコレザー基準:http://ecoleather.jlia.or.jp/kijun/index.html