「内面が変わる、新しい服の選び方」 @そごう横浜トークショーレポ ファッションモデル 鎌田安里紗×INHEELS代表 岡田有加


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5月28日(土)14:00~

ファッションモデル 鎌田安里紗氏×INHEELS代表 岡田有加氏

モデレーター:EFJ代表 竹村伊央

 

EFJでは5月17日から30日までの2週間、そごう横浜店3階のシーガルコートにて、エシカルの期間限定ショップを展開してきました。各週末には、ワークショップやトークショーなどの特別イベントも開催してきました。今回はその中から28日(土)に行われたファッショントークショーの模様をレポートしていきます!

 

 

「内面が変わる、新しい服の選び方」と題した今回のトークショーでは、モデルの鎌田安里紗氏とエシカルブランドINHEELS(インヒールズ)で代表を務める岡田有加氏をゲストに招き、EFJ代表竹村との対談を通して、ファッションという視点でエシカルを語って頂きました。

 

 

IMG_2838 (1)竹村伊央(以下、敬称略):それでは早速ですが鎌田さんに質問です。モデルというお仕事をする中で様々なファッションに出会うと思いますが、どのようにエシカルと出会ったのですか?

 

鎌田安里紗(以下、敬称略):初めてエシカルを知ったのは高校2年、17歳の時でした。14歳の時にインドネシアを訪れたことから貧困問題に関心を持ち、日本には届いていない問題や情報があると感じるようになりました。そこから、ボランティアや寄付以外で彼らとつながる方法を模索していく中で、フェアトレードに出会ったんです。私は、当時からモデルとして雑誌に出ていたので、お洋服の世界でフェアトレードのものを探して、ピープルツリーを知りました。ファッションでも作り手とつながり、背景に配慮できるところ強くひかれましたね。

 

竹村:なるほど。続いて岡田さんに質問です。INHEELSは “WHO SAID ETHICAL IS NOT SEXY?” (エシカルがセクシーじゃないなんて誰が言ったの?)というブランドコンセプトを掲げていますが、これにはどのような意味合いがあるのですか?

 

岡田有加(以下、敬称略):そもそも「エシカル」ってどれくらいの方がご存知ですか?(手があがったのは会場半分ほど)そうですよね。まずエシカルを簡単に説明すると、

「環境と生産者に配慮した製品」ということになるでしょうか。オーガニックコットンの製品ややフェアトレードなどがその一例になりますね。いわゆるエコファッションというとナチュラルでかわいらしい感じのものをご想像されるかと思います。私はもともと、先ほど鎌田さんも話されていたPeople treeで働いていました。フェアトレードに賛同していてナチュラル系のお洋服も嫌いではありませんでしたが、ファッションってもっと幅があっていいよな。そう思っていました。独立後、自分なりに学びを深めINHEELSをスタートしました。フェアトレードはサポートしたいけど、お洋服はナチュラル系が好きなわけではない。ファッションにはみんな好みがあって自由なものですよね。そこでINHEELSでは、アーバン、ストリート、クールといったこれまでになかったジャンルのエシカルファッションを提案しています。

 

鎌田:INHEELSが出てきたことで、エシカルファッションの幅が大きく広がったと思います!

 

岡田:まだまだ広がってほしいけどね!(笑)

 

IMG_2817鎌田:私も高校生の時、ピープルツリーにはとっても魅力を感じていたんですが、当時の私のファッションテイストとは少し違っていて。そんな時にINHEELSが出てきてくれたのですが、なんか良い意味で振り切れてて!

 

岡田:確かに。意識して人がやってないことをするようにしてきました。でないと私がやる意味がないですからね。

 

竹村INHEELSはスタートから4年経ちましたが、エシカルファッションの世界は何か変わったように思いますか?

 

岡田:テイストの幅に大きな広がりが見えるとは言えませんが、各ブランドの力が上がってきたと思います。そもそも、「エシカル」というテーマで、そごう横浜さんでこんなトークができるとは想像もしていませんでしたから。ブランドの成長努力とお客様の認識の広がりは感じられますね。

 

鎌田:この5~6年でエシカルという用語が広まり、昨年からは特に忙しくなりましたね!それだけ、広がりを見せているということだと思います。

 

竹村:今回のトークテーマは「内面が変わる新しい服の選び方」ですが、実際におふたりはどこでお洋服を買いますか?

 

鎌田:エシカルの発信者という立場上、エシカルブランドしか着ていないと思われることが多いのですが….。そんなことはないです。心から好きなものを選んで長く着ることを大切にしています。ブランドコンセプトに共感したり、背景に感動できても大切に長く着続けられなくては意味がないと考えているからです。なので、普段はとにかく自分が気に入って、かつ、できるだけ生産の背景が見えるものを基準に選んでいます。

 

岡田:「エシカルファッション」というと、他を買っちゃいけないのでは?と縛られがちですが、それではお買い物自体が楽しくなくなってしまいますよね。なので、いつもの洋服選びに+αで楽しむのがエシカルの広がりにつながると思います。

 

鎌田:あとは、「語れるもの」を買うようにしています!そのストーリーも一緒に購入することで、買う時も着る時も、そして人に伝える時も楽しみが増えますよね。

 

竹村:なるほど。岡田さんは何かこだわりはお持ちですか?

 

IMG_2838岡田:これは本当に個人的なものなので、他人に押し付けることはしませんが、「ファストファッションは買わない」と「アンゴラの毛を使うものは買わない」という2点をルールとしています。あえてしないことだけ決めておくことで、ファッションを楽しむことを忘れないようにしています。

 

鎌田:私は、「どうでもいいお買い物はしない」を意識しています。無意識的になっているとセールの時やファストファッションのお店で流行りのデザインを安く見つけたときに、心からほしくない物をなんとなく買ってしまうと思うんです。でもそういう買い方をすると、着る時にワクワクしないからすぐに飽きてしまって、簡単に捨ててしまうと思います。

 

岡田:それすごく大切だと思います!自分の部屋を片付けていると、なんでこんなに物があるんだろう?って思うことありますよね。だから、私は自分の部屋に入ってくるものを先鋭部隊みたいにしたいって思っています(笑)こだわりぬいた大好きなものだけを買うようにしたいですね。

 

鎌田:本当にそうですね、普段から本当はいらない物、どうでもいいものは買わないと決めることもエシカルへの一歩ですね。

 

岡田:特にお洋服ってたくさんの工程と人の手がかかってるから、当然たくさんのストーリーがあるんですよね。

 

鎌田:こうして毎日お洋服を着ているとその過程を忘れがちになってしまいますよね。でもそのプロセスに目を向けてみると、本当に面白いんです!

 

岡田:そうですね。語れるネタはたくさんありますね。特にエシカルファッションはそういうプロセスを明かしているものが多いし、ストーリーを知ると長く大切につかいますよね。

 

IMG_2827竹村:では、そんなおふたりがこだわりを持って作られたコラボ製品についてもストーリーを聞かせてもらえますか?

 

岡田:実は私たち、大学の先輩後輩関係なんです!興味や関心も近くて、最近は一緒に何かをすることが多くありますね。そんな中で、ふたりでコラボレーションをしてコットンキャンバスバッグをつくる機会がありました。

 

鎌田:「SPELL BAG」という製品なのですが、FORGET ANYTHING? 忘れ物は、ない?と出かける前に自分に問いかけることで、お気に入りのノートとペンとお財布と、プレゼントにもらったハンカチ。そんな「いつも持ち歩きたいもの」と一緒に、「自分にとって大事なマインド」も持ち歩きたい。そんな思いを込めてデザインしました。

 

岡田:このバッグの縫製はインドの縫製工場で行い、プリントはイギリスのゼロ・エミッション工場(廃棄物を100%リサイクルする)で行っています。こちらのバッグは残りわずかとなっていますが、今年8月には鎌田さんとコラボしたお洋服も発売予定です!鎌田さんがデザインしたものをINHEELSの工場でつくっています。

 

鎌田:発売が楽しみですね!デザインの際には、「今すぐ着たい!」と思ってもらえる可愛さと、トレンドに流されず長く着てもらえるデザインというのを大切にしました。

 

竹村:それでは、このようなお仕事をしていく中で、おふたりはエシカルをどのように捉えていますか?

 

鎌田:私は「本質的にファッションを楽しむ」というのが大切だと考えるようになりました。最近、古着好きな友人に出会って、彼女の着眼点に共感しました。彼女は、古着を選ぶときに作られた年代や場所、素材に注目して想像することを楽しんでいると言っていました。このようなデザインやトレンドにとらわれない楽しみ方って素敵ですよね。搾取や環境問題の話題ばかりを出すのではなくて、そのものの本質を見るというエシカルの捉え方をしています。

 

岡田:私も最近、改めて気づいたのですが、「エシカル」とうたっていなくても、職人さんと真摯に向き合ってものづくりをしたり、環境に配慮している製品は昔から沢山ありますよね。わざわざエシカル、フェアトレードと主張するのは必ずしも必要とはいえないと思います。ただ、ファッションのバリューチェーンは長くて遠くて見えないため、背景が想像できない。分からないという現状は危ういと思いますね。

 

竹村:ファッションは楽しいけれど、「エシカルファッション」はなんだか難しそう。という声も聞きますが、どのように語れば良いでしょう?

 

IMG_2842岡田:私自身も店頭に立つことがあるのですが、「児童労働」や「環境破壊」という四字熟語を並べて語ったら、お買い物モードにはならないですよね。だからその人の興味によって話題を変えています。もちろん、こだわりを持ってストーリーを聞きたいというお客様には時間をかけてお話します。例えば、今日私が着ているのはテンセルという素材を使ったものなのですが、この素材は南アフリカのユーカリの木からとれる繊維でできています。どんな場所でどれだけの水を使って木が育つのか、どんなもので染めているのか。実際に形にする職人さんはネパールのカトマンズにいて…など詳しいストーリーをお伝えしています。

 

竹村:そういうストーリーを他のブランドからももっと知りたいですね。

私の意見として、現代の洋服の買い方は断捨離のために買っているというか…捨てるための購入ともとれるものだと問題視しています。おふたりはお洋服の買い方にどのような未来予想図を持っていますか?

 

鎌田:日本人は1年間に10キロのお洋服を買って9キロも捨てると言われています。どうしても飽きてしまうのは分かるけど、ばからしい数字ですよね!いらなくなったら「目の前から排除する捨て方」ではなくて、循環を考える必要性があると思います。リメイクや染め直しなど楽しみながらできることがありますよね。「消費の未来」ではなくて「消費しない未来」を創っていけたらと思います。

 

岡田:30~40代より上の年代の方は分かると思いますが、以前に比べ服の価格は大きく下がりましたね。一見お得に買い物ができるようになったと思えますが、クローゼットには安い服が大量に溢れてはいないでしょうか。エシカルの観点から言えば、やはり、今持っているものを大切に着ることですね。でもずっと同じ物を着るわけにはいかないし、おしゃれもしたい。だから、本当にほしいものだけをしっかり考えて買う。これが一番大切なのではないでしょうか。

 

鎌田:「自分と向きあう」ということですね。自分が買えるGOサインを出す基準を探すには、自分と向き合うしかないですから。そうすると、自分の内面も変わるし、自分なりの価値基準を見つけてお買い物をするようになりますね。

 

岡田:そうですね。若いときはファッションでいろいろ挑戦失敗するのは当たり前だけど、年齢を重ねるごとにクローゼットの中が自分の本当に好きなものだけでレベルアップしていく。そんなイメージを持っていますね。

 

竹村:ありがとうございました。

 

 

 

今回は限られた30分間の中で、とても内容の濃い対談をお話いただきました。エシカルファッション界のアイコンとして活躍されるおふたりの生の声を通して、それぞれが直面してきた問題意識から、自分なりの「服の選び方」を見つけるまでがお伝えしました。

 

みなさん一人ひとりがオリジナルな「服の選び方」を見つけるきっかけにして頂ければ嬉しいです。

 

<文:丹波小桃>

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