児童労働に取り組むNGOが初のエシカルファッションカレッジを開催するワケ 〜ACE・岩附由香さんに尋ねました


コットンの日である5月10日、「エシカルファッション」を知り・作り・感じることができる1日限りの学校「エシカルファッションカレッジ」が初の開催! これは、リー・ジャパン株式会社と特定非営利活動法人ACEが主催するもので、2013年までは企業をターゲットにしたコットンに関するシンポジウムとして開催されていました。

今年からは思い切って「エシカルファッション」のイベントに。その理由は? 世界の子どもを児童労働から守る国際協力NGO・特定非営利活動法人ACEの岩附由香さんに、EFJ代表・イオがお伺いしました。

(右)ACE代表・岩附由香さん1974年東京生まれ。桐朋女子高校卒業。上智大学文学部卒業。大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)博士前期課程修了。大学院在籍中の1997年にACEを起業し、代表に就任。会社員、国連機関スタッフ、通訳などの職と平行しボランティアで活動を続け、2007年からACEの活動に専念。2012年に出産、一児の母として、子育てと仕事に励む。

(右)ACE代表・岩附由香さん1974年東京生まれ。桐朋女子高校卒業。上智大学文学部卒業。大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)博士前期課程修了。大学院在籍中の1997年にACEを起業し、代表に就任。会社員、国連機関スタッフ、通訳などの職と平行しボランティアで活動を続け、2007年からACEの活動に専念。2012年に出産、一児の母として、子育てと仕事に励む。

イオ:児童労働の問題に取り組むACEですが、コットンにはどんな問題があるのでしょうか?

世界中のコットンの生産現場で児童労働があり、ACEが活動するインドでは、少なくとも38万人の子どもたちがコットンの種子産業で働いているという報告があります。

農場では第一に、子どもたちは農薬の危険にさらされます。子どもたちは、農薬が撒かれた直後やまっただ中で作業しており、農薬を吸い込んだり触れたりすることで健康が脅かされます。次に、これが「搾取された労動」であることも問題です。子どもたちは貧困という背景の中、とにかく現金が必要で、安い賃金・危険な労動環境でも働かざるを得ません。子どもたちは学校に行けませんが、教育を受けられなければ、将来の職も限られてしまいます。すると貧しいまま、その子どももやはり働かざるを得なくなるという悪循環が生まれます。
(→ACEのサイトで詳しく知る:http://acejapan.org/cotton/childlabour/

「安くて使い勝手の良い労働力が欲しい」という需要に、子どもが好都合。一方、とにかく現金が必要な家庭が、必要に迫られて子どもたちを供給する。児童労働というのは、需要と供給がマッチするから起きる問題です。この需要と供給のバランスを変えていく必要があります。ACEは、そのためのプロジェクトを現地で行っており、子どもたちが危険で有害な労動から守られ、学校に行けるよう支援しています。

インドのコットン生産地で児童労働をなくし子どもの教育を支援する「ピース・インド・プロジェクト」の様子。(左)公立学校で勉強する子どもたち、(右)職業訓練センターで縫製・仕立ての技術を学ぶ女の子たち (IMAGES: Courtesy of ACE)

インドのコットン生産地で児童労働をなくし子どもの教育を支援する「ピース・インド・プロジェクト」の様子。(左)公立学校で勉強する子どもたち、(右)職業訓練センターで縫製・仕立ての技術を学ぶ女の子たち (IMAGES: Courtesy of ACE)

イオ:ACEでは現地での活動のほか、国内の企業への働きかけも強く行っています。それはどうしてですか?

この「需要と供給」は、インド国内だけの問題ではありません。安くモノを作りたいという需要があり、そうした経済のしわ寄せが彼らに来ているのです。消費のあり方を変えないと、児童労働は根本的にはなくなりません。

世界でおよそ1億6,800万人もの子どもたちが危険・有害な労動に従事しています。これを効果的に解決していくためには、先進国にいる一人ひとりが「児童労働は私たちの問題なんだ」と認識することから始まります。だからACEでは、さまざまな教材を開発して、児童労働が身近な問題だと気づくきっかけづくりを行っています。

しかし問題を理解しても、具体的にどう行動すればいいかが分かりにくい。だからACEは、企業のCSRに力を入れていて、売り上げの一部が寄付になる商品の開発などを通じて、身近な国際協力の機会を生み出しています。そうすれば消費者には具体的に「これからは児童労働のない商品を選ぼう」とアクションを示すことができます。

ACEの企業との協業例。(左)森永製菓が発売したACEの支援地区で採れたカカオを使ったチョコレート(IMAGE: Courtesy of ACE)、(右)エシカルファッションカレッジのワークショップに合わせて、興和株式会社が提供したバッグに、職業訓練校の女の子たちが刺繍をしたバッグを用意。当日はこれに自分でデザインを加えるワークショップを実施。

ACEの企業との協業例。(左)森永製菓が発売したACEの支援地区で採れたカカオを使ったチョコレート(IMAGE: Courtesy of ACE)、(右)エシカルファッションカレッジのワークショップに合わせて、興和株式会社が提供したバッグに、職業訓練校の女の子たちが刺繍をしたバッグを用意。当日はこれに自分でデザインを加えるワークショップを実施。これらの売上の一部は再びACEが現地プロジェクトに活用し、さらに支援を強化できるようになっている。

企業に対しても、いっしょにアクションできる枠組みを用意しています。例えば児童労働のないコットンを提供したりなどです。実際にやってみて「児童労働のないものづくりはできる」と体感していただけること。そうして児童労働のないサプライチェーンを作ろうとする企業が増えていくことを目指しています。

イオ:その中で「エシカルファッションカレッジ」のもととなる「コットンCSRサミット」が始まったということでしょうか?

そうですね。「コットンCSRサミット」は、リー・ジャパン株式会社と2011年5月10日に初めて開催しました。コットンにどういった課題があり、課題に対して企業とNPO/NGOがいかに連携して解決を図っていくかを議論する場で、成功事例を紹介してプレーヤーを増やす目的のものでした。2013年に「エシカルコットンサミット」と改名して開催し、今年は消費者もターゲットにして「エシカルファッションカレッジ」にしました。

企業がいくら児童労働のない、良いしくみの中でものづくりをしても、それを評価し選択する消費者がいなければ、持続可能な取り組みになりません。そこで、消費者の方にも良い経済のしくみの中で生まれたものを選ぶ意義を伝えていくことも、ACEの重要なミッションだと思っています。企業の取り組みを評価する消費者を増やすこと。その意義から「エシカルファッションカレッジ」の開催に踏み切りました。

イオ:私たち一人ひとりがバイコット(※)していきたいですね! 最後に「エシカルファッションカレッジ」への意気込みを教えてください!

児童労働は経済のつながりの中で生まれる問題です。だから一方が変われば、もう片方も変わります。経済のつながりを理解し、具体的なステップを紹介し、企業も消費者も一人ひとりがアクションできるようになるーーエシカルファッションカレッジが、そんな場になればと思っています。ここで、自分なりのエシカルを見つけていただけるとうれしいです!
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エシカルファッションカレッジ
日時:2014年5月10日(土)10:00〜18:00 
場所:IID世田谷ものづくり学校(東京都世田谷区池尻2-4-5)
アクセス:http://setagaya-school.net/about/access/
詳細:http://efc.lee-japan.jp/
定員:各セッションにより異なる
※事前申込は受付けません。各教室・ワークショップは定員あり。
参加費:講義・視聴覚は無料。実習は、内容によって参加費を設定(500円~)。
主催:リー・ジャパン(株)、特定非営利活動法人ACE
企画協力:株式会社アーバンリサーチ、生駒芳子、エシカル・ファッション・ジャパン、株式会社クルック、ピープル・ツリー/グローバル・ビレッジ
協賛:豊島株式会社(オーガビッツ)、パタゴニア日本支社、オーガニックライフTOKYO、興和株式会社


※バイコット……バイ(買う、BUY)とボイコット(BOYCOTT)からの造語。悪いモノを買わないボイコットではなく、環境に配慮した製品やサービス、あるいは環境配慮型の経営を行う企業の製品やサービスを積極的に購入し、「買う」行動を通して消費者が企業を評価することをいう。